DVD Flickに期待
DVD FlickはDVD-Videoを作成するフリー&オープンソースソフトで、いわゆるDVDオーサリングソフトだ。
(2009/01/11追記)猫科研究所でも日本語版を作成してみた。興味のある方はDVD Flick日本語版へどうぞ。
DVD Flickの概要
DVDビデオ関連のフリーのソフトはたくさん出ており、CD・DVD書き込みソフトと同様に選択に困るほどになってきている。その様相はKenのムービー計画さんを見ればわかるだろう。
猫Pも当然色々と試してみていたのだが、メニューを作成できるソフトは限られており、だいぶ前にDVDStylerとDVDforgerを試していた。その際の結論は、両者とも望みの機能を持ってはいるが、どちらも入力の制限や操作性の悪さで気軽に使うレベルには達していないというものだった。
また、SuperDVD Video Editorは、入力形式がかなり厳しく、勝手にコーデックをインストールしたり、若干不安定であったりしたので個人的な印象が悪い。
そして、DVD Flickが1.3.0.0でついにメニューの作成に対応。試してみたところ、メニューの作成機能は簡易的なものだが、そのバランスがよく、常用に値すると思われたのでここに書くことにした。
DVDFlickの実際
問題のメニュー作成機能だが、その見栄えはテンプレートから選択する形式になっている。メニュー項目の配置などは選択できず、自由度はない。大まかに言ってしまえば、Vistaに付属するWindows DVD メーカーに近いと言える。
しかし、Windows DVD メーカーと同じなら、ここで紹介する意義はない。DVD Flickのアドバンテージは、以下の点だ。
- 変換にffmpegを使用しているため、対応する入力動画形式が多彩。
- 同じ理由で、DVDビデオに適した形式への変換が非常に高速。
- 各入力動画に対応するメニュー上のサムネイルは、好きな場面を選択できる。
- VIDEO_TSフォルダ、ISOイメージでの出力が可能で、他のソフトで編集可能。
- Windows DVDメーカーよりメモリの使用量が劇的に少ない。
この中でもサムネイルの場面選択と、メモリ使用量の違いはかなり大きい。まずサムネイルが選択できないようでは、運が悪ければ変な場面にあたり、内容がわからなくなる。そしてメモリが1GBしかない猫PのVistaマシン(サブ用途のノート)では、Windows DVD メーカーはあまりに重く、結局最後まで作成したことがない。それがDVD Flickでは嘘のようで、全くストレスを感じないのだ。
現状の弱点
もちろん弱点もある。公式に日本語版がないことと、メニューのテンプレートが少ないことは大きいだろう。日本語に関しては過去のバージョンは有志により日本語化されていたことがあり、今後のバージョンでも日本語化を期待できる。(2009/01/11追記)猫科研究所での日本語版を用意した。
また、テンプレートは実際には画像ファイルと設定ファイル(テキストで書かれている)の組み合わせであり、センスのある人なら自作することもできる。英語ではあるが解説サイトもあり、既に有志によって配布されているテンプレートもある。つまり、上記の問題は時間が解決するだろう。
そして、DVD Flickのメニューテンプレートでは、背景画はテンプレートに含まれる画像でしかない。Windows DVD メーカーでのメニューの背景は、書き込む動画自身から画像が合成されるが、そういったことはできないのだ。つまり、DVD Flickでは作成するDVDの独自色が出ないことになるが、これは好みが別れるだろう。ただし、背景画像くらいは事前にテンプレート側を変更してしまうという方法で対処できないこともない。
DVD Flick自体がなんとかしなければならない問題としては、メニューの文字が汚くつぶれてしまうことが挙げられる。文字の縁取りや強調表示の関係かもしれないが、漢字の表示には若干つらいものがある。ただし、DVD Flickのbinフォルダにはdvdauthor.exeがあることから、メニューのレンダリングはこちらで行っている可能性も高い。だとすると、dvdauthor側の改善に期待するしかない。
あとは、DVDに複数の動画を含めた場合に、再生環境によって再生中に前後の動画へのシークができない場合がある。これは、DVD Flickのメイン画面で動画を追加すると「タイトル」になり「チャプタ」になるわけではないことによる。追加する動画をチャプタにすることはできるのだが、メニューで選択できるのはタイトルだけだ。帯に短し襷に長しの仕様となっている。
wmv/asf形式の動画ファイルをDVD Flickに投入すると、音ズレするという話がある。猫科研究所ではこの問題を再現できていないが、予測される修正方法をDVD FlickへのWMV・ASF入力に書いたので、困っている方は試してみるとよいだろう。
このようにいくつかの問題点はあるが、今後にかなり期待できる状態となった。何よりトータルバランスが優れており、現状でもかなり使い勝手のよいソフトだ。元々メニュー作成機能はなく、「ただ動画を突っ込めばDVD-Videoになる」ソフトだっただけに、非常にシンプルで初心者にも使わせることができる。
ちょっと他人に配りたいだけなのに、わざわざオーサリングソフトを買うのも…と迷っている方は、是非試してみてほしい。
最終更新時間:2009年01月11日 05時29分20秒